ハワイの神様
ポリネシア一帯には共通の神様がいます…それぞれの国で呼名が少し変わっていたり違う神話が伝えられていたりしますが、それぞれの神様が持つ力や役割は同じ…
ですが、ハワイでは『クー神』は豊穣や農業の神様としてより『戦いの神』としての認識が高く、恐ろしい存在となっているのではないでしょうか…
それはカメハメハ大王が、全島を統一する戦いの時、クーを崇めクーの為の祭壇(ヘイアウ)を作ったことからきています…ヘイアウの建設時には、生贄をクー神に捧げ、クー神を味方につけたことでカメハメハ大王は全島を統一できたと言われています
しかし、クー神は戦いの神という力強いパワーもありますが、本来は心優しい豊穣の神…
クー神にはこんな神話があります
昔むかし…
クーは自分が神だということを隠し、地上の妻を娶りました…
よく働き家族の為に全力を尽くすクー…ある時、雨の降らない日が続きハワイは飢餓に見舞われました
何日も何日も日照りが続き雨が降らず、農産物は育ちません…豊穣の神であるクーは、自分がなんとかできる力を持っている事を知っていたのですが、身分を偽っていた為、どうしようか悩みます…
しかし、とうとう自分の子供が飢えに苦しむことになり、クーは決心します
クーは妻に『みんなを助ける為に長い旅に出る』と告げ、自分が居なくなった場所から生えてくるモノを大切にしなさい!と言い残しました
そうしてクーは庭の一角の地面に頭を付け、そこから地中にもぐっていきました
泣き悲しむ妻と子供たち…しかし、クーの残した言葉通り、姿を消した場所から生えてくる植物を大切に育てました
みるみるうちにそれは大木に育ち、大きな実を付けました…ハワイの人々はその実を食べ、飢えから解放されたということです
クーがもぐっていった場所から育った木は『パンの木』
パンの木はクー神の化身と言われます…
豊穣の神 と言えば『ロノ神』では?と思うのではないでしょうか?
同じ豊穣の神と言っても、ロノ神は豊穣に必要な程よい太陽の光や優しい雨、心地よい風や養分たっぷりの大地…そんな優しい自然のパワー
一方、クー神は雷や豪雨、強風や荒れた大地…といった厳しい自然のパワー
クー神の持つパワーは一見、要らないモノ、歓迎されないモノのように見えますが、勢いのあるパワー(厳しい自然状況)は必要な場合もあります…ペレの持つパワーに似ていますね…
私たちの生活でも、心地よいだけではダメな時、心地よければ、変わらない状況…ありますよね…
農産物だけでなく、私たち人間の心の豊かさ(心の豊穣)を追求する時、現状維持ではなく、やはり乗り越えなければならない壁があります…様々な葛藤や試練を迎える時、クー神の持つ限度を超えたパワーが、時として必要な場合があります…
そういった意味を考えると、カメハメハ大王がクー神を崇めクーの力を背に、戦いに挑んだ過去の背景が理解できますね…
ハワイでは、タロイモに並びパンの実はハワイアンの身体を支える栄養価の高い植物として昔から伝わっています
〜Aloha〜